【シングルレビュー】「UVERworld - HOURGLASS」

f:id:camelpark:20210404130003j:plain2作目に選んだのは、UVERworld「HOURGLASS」

早速聞こうと意気揚々にYouTubeを開いた私は衝撃を受けました。www.youtube.com

Short Ver.しかない

公式から上がっているMVはこれだけ。すでにリリース後なのにである。この手法には驚きました。要は途中までは聞かせてあげるけど全部聞きたかったらCD買ってね、という事なのです。この手法にどのくらいアーティストの意思が反映されているかは分かりませんが、アーティストとして完成された自分たちの楽曲をより多くの人に届けたいというよりも、未完成の状態で世に出すことを選び、より多くの人にお金を落としてもらうことを優先しているという商業的すぎる姿勢には純粋に引いてしまいます。ただ調べてみると、このアーティスト以外でもShort Ver.は日本ではある程度主流みたいなので、UVERworldさんだけを批判するつもりもないですが、この時代にCDを売るために躍起になっている日本の音楽業界はある意味希少なのかもしれません。とは言いつつもSpotifyでも配信されていたので、そちらできちんとフルで聞いた(本音を言えば履歴を残したくないから使いたくないのだが)レビューをしていきます。

 

自体はAvicii等に影響を受けているようなテイストで、少しEDMの要素が取り入れられてましたが、

・Avicii
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全体的に単調で面白みのない作品になっておりました。ただ音自体のミックスは凄く良く、特にアコギの音なんかはすごく音が良くて、クリアな印象が曲に同化していました。ただどこか枠にハマろう、聞きやすくしようというの思惑が残っており、味気のない作品になっている事は否めないです。原因はきっとこの曲が映画のタイアップ作品になっていることが関係していると思います。その映画自体は詳しくないのですが、タイムスリップ物みたいで、だからこその「Hourglass(砂時計)」日本のタイアップ系の楽曲はほぼほぼ宣伝の用途で使われているので、万人がいい曲だと思う曲を作らないといけない、だからこそのこのアレンジになったのだと思います。このタイアップ問題は非常に根深い問題で、特に邦楽の人気アーティストはこのタイアップに持ちつもたれずの関係になってしまいがちです。出すシングルのほとんどがタイアップ、アルバムの半分以上はタイアップなんてのもザラで、スポンサー、事務所の言う通りに自分たちとは別の作品のイメージを取り入れた作品の数々の寄せ集めがいい作品になるはずがありません。

※海外でここまでタイアップを優先しているアーティストを私は知らないですし、担当するにしても邦楽とは次元が違う完成度で自分の作品(アルバム)とは切り離したプロデェクトとして完遂してます。近年だとクリストファー・ノーラン作品の「TNET」の主題歌を担当した、Travis Scottの完成度は目を見張る素晴らしさでした。www.youtube.com

 後半の流れを聞いていて(大サビに入る前のアレンジ)ポテンシャルはあるバンドだと感じたので、商業的な姿勢から本来持つべき音楽性の追求を行えばもっと良いバンドになっていくと思いました。

 

だ歌詞については全く惹かれるものはなかったです。「砂時計のように」「暗証番号のように」「推理小説のように」など「〜ように」を多用しているところからも力不足が感じられますし、

今日一日の「サヨナラ」と
永遠の「サヨナラ」の
響きは時々同じ

の部分なんかも言わんとしたいことは分かりますが、響きは「時々」じゃなく、毎回同じだと思いますし、全体を通しても安いポエムを読んでいるような感覚でした。タイアップといえど映画の要素を取り入れるわけでもなく、表層の部分だけのイメージを取り入れていることもあり、どっちつかずの内容になってしまっておりました。上で書いたこととの重なりますが、日本のアーティストはまずはアーティストとしての本質を取り戻すこと(タイアップ作品を量産するためにアーティストになったのなら別ですが)が何よりも優先すべきです。悪しきタイアップの呪縛から逃れた場所で創作できる未来を望んでます。

 

 

今回はここまでになります。次回からも定期的に更新していきますので、オススメ楽曲などありましたらコメント欄で教えてください。それではまた次回。