【洋楽レビュー】4月3日〜4月9日リリース オススメ作品

回から邦楽レビューに加え、毎週リリースされる洋楽作品の中からオススメのアルバムを紹介する記事も上げていきます。こちらはスコアや細かいレビューは行わず、あくまで紹介というベースで記事を書いていきますので、洋楽好きな方は、参考にしていただければ幸いです。

それでは早速今週「4月3日〜4月9日」リリース作品のオススメを紹介していきます。

1.『BROCKHAMPTON / ROADRUNNER : NEW LIGTH, NEW MACHINE』f:id:camelpark:20210410214532j:plain前作「GINGER」から2年が経ちリリースされた本作はゲストも豪華でDanny Brown、JPEGMAFIA、A$AP Rocky、A$AP Ferg、Charlie Wilson、Baird、SoGone SoFleaxyが参加しています。「GINGER」でキャッチーな印象を与えた彼らですが、今作ではよりメンバーのスタイルが強調された内容になっていました。そしてなにより参加しているゲストの親和性が高く、どのアーティストもBROCKHAMPTONの一員と化しているようで、特にDanny Brownが参加した「BUZZCUT」は素晴らしく、Danny BrownこのままBROCKHAMPTONに参加してくれないかと本気で願うくらいの仕上がりでした。ケヴィンが今年でBROCKHAMPTONは解散するなんてことを言っていましたが、解散するにはあまりに惜しい存在になってしまった彼ら、真意はわかりませんが(ケヴィンは度々そのような発言をしているので)仕上がり尽くした彼らの今後の作品を私は渇望しています。

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2.『Sufjan Stevens / Meditations』f:id:camelpark:20210412100710j:plain

5月6日に5枚組のインストゥルメンタル作品『Convocarions』をリリースすると発表したSufjan Stevens。5枚組の内容は『Meditations』『Lamentations』『Revelations』『Celebrations』『Incantations』となっており、1作目となる本作「Meditations」は先行で公開されました(今後も4月12日、4月19日、4月26日、5月3日と立て続けに1作ずつリリースされます)亡き父に捧げたという本作は喪失感を強く感じさせられる内容になっており、また前作『The Ascension』の延長線上でなっているサウンドだということが分かります。今作でも完結していると思われる作品になっておりますが、5作品公開され全体像の一部となる本作がどのように変貌するのか今から楽しみです。

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3.『Modeselektor / Extended』f:id:camelpark:20210412102700j:plain

彼らの音は彼らの音でしかないと再確認できた本作。27曲64分という大ボリュームの内容になった本作は最後まで聞くものの耳を飽きさせない。流れるよう編成で流れてくるにジャンルレスな音はいつ聴いても新鮮で不安感と高揚感を煽ってきます。また数年ぶりの音源となるJackson And His Computer Bandとのコラボも見逃せません。

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4.『Ballake Sissoko / Djourou』f:id:camelpark:20210412105941j:plain

マリ共和国のコラ奏者Ballake Sissokoの新作『Djourou』コラが成すスピリチュアル的な雰囲気はさながら上質な映画を見ているような感覚に陥らせてくれる。パーカッションは用いず多才なゲストとコラが生み出す空気感はどこまでも心地よく、そしてラスト「Un vetement pour la lune」でのクライマックスは圧巻。以下のVideoも是非。

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以上、今後も毎週厳選した作品を紹介していくので、参考にしてみてください。皆さんの感想やオススメの作品もよかったらコメントで教えていただけると幸いです。

【シングルレビュー】「CHAI - Nobody Knows We Are Fun」

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5月21日にUSのインディ・レーベルから発売になる3rdアルバム「WINK」からの先行曲となる本曲は現在のCHAIを表すような1曲になってました。

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CHAIについては前作の「PUNK」がPitchforkで高評価を受けるなど海外メディアからの評価も高く、普段邦楽を聞かない私でも知っていたバンドだったのですが、彼女達の存在は今や日本の音楽業界にとってかなり重要な鍵になっているようにも思えます。

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というのも、彼女たちは日本にはびこるルッキズムに正面から立ち向かっているからです。今の日本は何よりもルッキズムを尊重する体制です。日本の音楽番組を見てみると、自分たちで音楽を生み出さない、また音楽的な才能を持っていない「アーティスト」と呼ばれている人たちが大勢出演しています。彼らは一般的にルックスがいいとされ、与えられた音楽に口を当て、笑顔で出演することで「アーティスト」になれるのです。そして視聴者もそれを求めます。このブログを始めてYouTube等で邦楽のミュージックビデオをみる機会ができましたが、コメントを見て驚いたのは圧倒的にルックスに関するコメントが多いことです。また先日レビューしたKing Gnuさんのギターボーカルの常田さんの交際報道が先日報じられ、Twitterのトレンドに出てきたのコメントを見てみたのですが「ショックだ」とか「それでも聴き続けます」みたいなコメントが大量に出てきてこの感覚には驚きました。自分の好きなアーティストに求めるのは音楽性でしかないと思っていたのですが、ルッキズムに付随して日本では偶像化が激しいことも体感しました。

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その現状が何十年も前から音楽的な発展は遂げずに、ルッキズムと心中することにした今の日本を作っているのだと思いましたが、そんな日本で彼女たちは「NEOかわいい」を掲げ、今の自分たちが最高であるということを歌います。それは本曲も例外ではありません。

Oh my gosh
Nobody knows we are fun
This is a big issue
No.. lalalalala
Uh, wow, oh my gosh
Nobody knows we are fun
This is a big issue
Nobody knows we are smart 

「私たちが最高ってことに気づいていない」と主張する本曲のこれまでのサウンドを覆すようなエレクトロサウンドは世界進出に向けての意気込みのようにも感じられ、CHAIがまさに最高に輝いていることを体現しています。決して背伸びをせずに誰にも媚びないCHAIサウンドは世界の人に、そしてルッキズムに支配された日本人にも届きます。そしてCHAIは歌います。

ヘイ、それってさ
イカしてんのかい?
知ったこっちゃない
Yes, come with us
ヘイ、もっとさ
馬鹿したいでしょ?
フリしてんなよ
Yes, come with us

CHAIの音楽は誰も置いていきません。CHAIと共にルッキズムからの解放を、それが邦楽に残された唯一の希望なのかもしれません。

【シングルレビュー】「UVERworld - HOURGLASS」

f:id:camelpark:20210404130003j:plain2作目に選んだのは、UVERworld「HOURGLASS」

早速聞こうと意気揚々にYouTubeを開いた私は衝撃を受けました。www.youtube.com

Short Ver.しかない

公式から上がっているMVはこれだけ。すでにリリース後なのにである。この手法には驚きました。要は途中までは聞かせてあげるけど全部聞きたかったらCD買ってね、という事なのです。この手法にどのくらいアーティストの意思が反映されているかは分かりませんが、アーティストとして完成された自分たちの楽曲をより多くの人に届けたいというよりも、未完成の状態で世に出すことを選び、より多くの人にお金を落としてもらうことを優先しているという商業的すぎる姿勢には純粋に引いてしまいます。ただ調べてみると、このアーティスト以外でもShort Ver.は日本ではある程度主流みたいなので、UVERworldさんだけを批判するつもりもないですが、この時代にCDを売るために躍起になっている日本の音楽業界はある意味希少なのかもしれません。とは言いつつもSpotifyでも配信されていたので、そちらできちんとフルで聞いた(本音を言えば履歴を残したくないから使いたくないのだが)レビューをしていきます。

 

自体はAvicii等に影響を受けているようなテイストで、少しEDMの要素が取り入れられてましたが、

・Avicii
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全体的に単調で面白みのない作品になっておりました。ただ音自体のミックスは凄く良く、特にアコギの音なんかはすごく音が良くて、クリアな印象が曲に同化していました。ただどこか枠にハマろう、聞きやすくしようというの思惑が残っており、味気のない作品になっている事は否めないです。原因はきっとこの曲が映画のタイアップ作品になっていることが関係していると思います。その映画自体は詳しくないのですが、タイムスリップ物みたいで、だからこその「Hourglass(砂時計)」日本のタイアップ系の楽曲はほぼほぼ宣伝の用途で使われているので、万人がいい曲だと思う曲を作らないといけない、だからこそのこのアレンジになったのだと思います。このタイアップ問題は非常に根深い問題で、特に邦楽の人気アーティストはこのタイアップに持ちつもたれずの関係になってしまいがちです。出すシングルのほとんどがタイアップ、アルバムの半分以上はタイアップなんてのもザラで、スポンサー、事務所の言う通りに自分たちとは別の作品のイメージを取り入れた作品の数々の寄せ集めがいい作品になるはずがありません。

※海外でここまでタイアップを優先しているアーティストを私は知らないですし、担当するにしても邦楽とは次元が違う完成度で自分の作品(アルバム)とは切り離したプロデェクトとして完遂してます。近年だとクリストファー・ノーラン作品の「TNET」の主題歌を担当した、Travis Scottの完成度は目を見張る素晴らしさでした。www.youtube.com

 後半の流れを聞いていて(大サビに入る前のアレンジ)ポテンシャルはあるバンドだと感じたので、商業的な姿勢から本来持つべき音楽性の追求を行えばもっと良いバンドになっていくと思いました。

 

だ歌詞については全く惹かれるものはなかったです。「砂時計のように」「暗証番号のように」「推理小説のように」など「〜ように」を多用しているところからも力不足が感じられますし、

今日一日の「サヨナラ」と
永遠の「サヨナラ」の
響きは時々同じ

の部分なんかも言わんとしたいことは分かりますが、響きは「時々」じゃなく、毎回同じだと思いますし、全体を通しても安いポエムを読んでいるような感覚でした。タイアップといえど映画の要素を取り入れるわけでもなく、表層の部分だけのイメージを取り入れていることもあり、どっちつかずの内容になってしまっておりました。上で書いたこととの重なりますが、日本のアーティストはまずはアーティストとしての本質を取り戻すこと(タイアップ作品を量産するためにアーティストになったのなら別ですが)が何よりも優先すべきです。悪しきタイアップの呪縛から逃れた場所で創作できる未来を望んでます。

 

 

今回はここまでになります。次回からも定期的に更新していきますので、オススメ楽曲などありましたらコメント欄で教えてください。それではまた次回。 

【シングルレビュー】「King Gnu - 泡」

じめまして、記念すべき1回目ということで簡単に説明から。

このブログはタイトルに記載しているとおり「アンチ邦楽リスナーの邦楽レビューブログ」となっております。

「おい!アンチがわざわざブログなんか書いてんじゃねえよ!!」

という血気盛んな邦楽リスナーの声が聞こえた気がしたところで、早速告白しますが、私は別にアンチではなく、正直邦楽なんてなんの興味もありません。

ただ音楽は好きで海外の作品は毎年リリースされる新作をだいたい500枚程聞いては、全作品の自己評価をせっせとPCにまとめるくらいには関心があるのですが、先日その情報を発信しようとしてYouTubeを立ち上げ、丸1週間かけて慣れない編集作業を終えた自信に満ち溢れた動画をあげたところ、1週間で再生数9回…。勿論、初めはそんなものだろうとは分かっていましたが、あまりに労力と釣り合っていないことから、早速撤退をかましました。ただよくよく考えてみたら海外の作品の情報をあげたところで再生回数は伸びる訳が無いことに私は気づいたのです。

そもそも日本人は海外の作品なんて聞かないんだから。

そう、分母の問題です。圧倒的に日本人は海外の作品を聞きません。昨年全世界のチャートを埋め尽くした「The Weeknd」すら知らない人がわんさかいるのです。

・The Weekndf:id:camelpark:20210402005042j:plain

そういう意味では日本は紛れも無いガラパゴス大国。「それならもう分母の多い邦楽のレビューをしてやんよ」と、そうやって拗ねた精神からできたブログがこのブログなのです。

なのでブログタイトルに「アンチ邦楽リスナー」と記載した理由は、実際にアンチというわけではなく、「その方がクリックしてくれる人が多くなる」これにつきます。何事も発展していくには少しのヘイトが必要なのです。その為、別にこき下ろそうと意識してレビューしていくというよりは、ありのままの正直の感想を書いていくという感じなので、悪意は特に無いということだけ念頭に置いていただければ幸いです。それでも記事を読んで文句が言いたい人はコメント欄を自由にお使いください。


いうことで1作目に選んだ作品は、タイトルにある通り「King Gnu-泡」です。

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 早速スコアから紹介します。

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56点(勿論100点満点中のスコアです)

 King Gnuというバンドは聴いたのは初めてだったのですが、

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今、日本で大人気のロックバンドということで(未だにロックが人気な国って日本くらいじゃないですかね)それなりに期待して聴いたんですが、期待を大きく下回ったと言うことは言うまでもありません。

ず「オートチューン」の使い方が下手すぎます。オートチューンで曲が作りたいというのが先行していて全てが悪い方向に出てます。「ダン、ダン♪ダーンダンダン♪」とメロディを声ではめているところは特に聞いていて恥ずかしくなるくらい出来で、絶対にシンセ等を使った方が雰囲気出ますし完成度も上がります。またその演出に引っ張られてメインボーカルのクリーンな歌声まで加工されているのがすごく勿体ないですね。またYouTubeのコメント欄には、このオートチューンを使ったアプローチを「天才」とか「新しい」とか言っている人多かったですが、既に2009年にリリースされている、Bon Iver「Woods」で完成されている域には到底及んでいないし、www.youtube.com

オートチューンを感傷的に表現したKanye West「Heartless」から13年後の表現とも思えないこの表現を「天才」と呼ぶにはあまりに無理があります。www.youtube.com

また邦楽では「オートチューン=新しい表現」と捉えられることがありますが、HIPHOPではT-Painが2005年頃から取り入れて爆発的に普及しているので、勿論新しいなんてことはなく、寧ろオートチューンでの表現はもう出尽くした感すらあるので、2021年になって新しいと揶揄されることは、時代錯誤も甚だしいという事です。

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た歌詞についても課題が大きく残ります。「泡」として例えているのはおそらく「大切な人への気持ち」とか「関係性」みたいなものなんでしょうが、呆気なさを「泡」に例えるのは安直すぎますよね。且つそれを直接的に「泡のように消えた 呆気ない運命が」と歌ってしまうのも、読もうと思った本が2ページしかなかったみたいな感覚になってしまって、もっと歌詞に内容を持たすべきだと思います。且つ「泡」というのも「あぶく」とあえて俗的な言い回しをしている部分も「あぶくのように」では「あわのように」と歌った方が、メロディにもハマる歌い回しになると思いますし、他の歌詞が現代語の砕けた感じなのに反して、この部分だけ浮いた印象になっていることも否めないです。

 

終的にアレンジも歌詞も含め感じた印象は実に平凡ということです。邦楽の中では非凡な存在と揶揄されているようですが、正直このレベルのバンドは海外に腐る程います。海外の作品を聞かれない多くの人は「日本語」という物への執着心から敬遠しているように感じますが、この内容の歌詞なら執着に値するようなものではないので、是非その執着心を取り払うことをオススメします。 

 

ということで第1回目はここまでになります。どの程度の毒が許容されるのか曖昧なままで記載してきましたが、読んでいただいた方の反応があれば、随時調整していきます。また基本的には新作のシングル、アルバムをレビューしていく予定ですが、「邦楽にもこんないい作品がある」というオススメなんかがあれば是非コメント欄で教えてください。これを機に私も邦楽への理解が深まればと思っているので、今後ともよろしくお願いします。